ニュージーランドではじめてマイホームを買った記録です。
》前編(事前準備~売買契約締結までの話)はこちら。
》中編(コンディションの話)はこちら。
最後となる後編は、ローン返済プランや保険加入など、入居までにしたことについてです。
出来事のタイムラインはこんな感じでした。
不動産屋にデポジット(頭金)を入金
家購入額の20%にあたるデポジットを、不動産屋の口座に振り込みました。
私たちは当初デポジットをどこに振り込めばいいのか分からずグズグズしてしまい(弁護士経由で振り込むのか?等)、契約成立から約2週間も経ってしまっていたので、サクッと不動産屋に振込先を確認すればよかった、と思いました。
ローン返済プランを決める
契約成立した数日後、モーゲージブローカーとローン返済プランについての話し合いがありました。
日本の住宅ローンは「固定金利か変動金利か」の選択肢くらいかなと思うのですが、ニュージーランドではいろいろな返済方法があって、馴染みがなさすぎてYouTubeなどで勉強しました。私の浅すぎる知識で理解した範囲ですが少しご紹介します。(間違ってたらすみません!)
固定金利と変動金利
・ 固定金利 Fixed rate
・ 変動金利 Floating rate / Variable rate
・ 返済 Repayment
ニュージーランドは日本と状況が逆で、一般的に「固定金利」のほうが金利が低いです。ただ固定金利のデメリットとして、繰り上げ返済する場合に金額に制限があったりpenalty(違約金)を支払う必要があったりすることが多いようです。
5つのローン返済方法
NZ政府系のサイトSortedによると次の5つのローン返済方法があるようです。
1.Table loan
毎回決まった額を返済する方法。返済額に占める元金の割合は返済開始当初は少なく、後になるほど大きくなる。恐らく日本でいう「元利均等返済」と同じ仕組み。ニュージーランドで最も一般的な方法らしい。
2.Reducing loan
毎回の返済額に占める元金の割合を一定で返済する方法で、返済が進むにつれて返済額は少なくなっていく。Table loanよりも総返済額は少なく済むが(利息支払額が減るため)、返済開始当初の負担額が大きい。恐らく日本でいう「元金均等返済」と同じ仕組み。ニュージーランドではかなりレアな方法らしい。
3.Offset loan
ローン残高を別口座の貯金等で相殺(Offset)できる返済方法。普通預金口座やSaving口座をローンにリンクさせることで、ローン残高から全リンク口座の預金額を差し引いた額に対してのみ利息が計算される。つまり預金額が増えるほどローンが返済されていく仕組み。
リンクさせられる口座の数は銀行によって異なり、例えばBNZだと50口座までいける*1。本人だけでなくパートナーや両親の口座をリンクさせることもできる。
適用される金利は「変動金利」で、利息は日毎に計算される。
この返済方法を取り扱っている銀行は少なく、一説によるとKiwibank・Westpac・BNZのみらしい*2。
4.Revolving credit loan
Offset loanと同じくローン残高を預金額で相殺できる返済方法だが、Offset loanと違い、ひとつの口座内ですべてが管理される。ローン口座にお金を入れることで、ローン残高から預金額を差し引いた額に対してのみ利息が計算される。
この口座は普通預金口座のように使うことができ、入れたお金はいつでも自由に引き出せる(もちろんその分 相殺額は減る)。
適用される金利は「変動金利」で、利息は日毎に計算される。
ほとんどの銀行でこの返済方法を取り扱っている。
5.Interest-only
毎回の返済で利息分しか支払わない返済方法。利息分のみなので1回あたりの返済額は少なく済むが、元金が全く減らないので、長期的には総支払額が多くなる。リノベーション等まとまったお金が必要なときにこの返済方法にし(1~2年だけ)、その後Table loanに切り替える、というような使われ方がされるらしい。
参考:Sorted: Types of mortgages- How different mortgage types work
Westpac- Home loan repayment options
BNZ- Explaining of different types of home loans
YouTube: Henk Hustle Investing- What Are The Different Types Of Mortgages?
Youtube: mortgagehq-Andrew&Blandon- Revolving Credit Facility l How Does It Work?
Youtube: mortgagehq-Andrew&Blandon- Revolving Credit Facility vs Offset Loan
我が家の現在の返済プラン
全ローン額のうち、手元の貯金額とほぼ同額で「Revolving credit loan」を組み、残りを「Table loan」の1年固定金利と2年固定金利に分けました。実際の金利はこんな感じです:
- Revolving credit loan(Floating) 4.15%/年
- Fixed 12months 2.49%/年
- Fixed 24months 2.25%/年
Floatingの金利がずば抜けて高いのですが、 Revolving creditの仕組みによりローン残高が預金で相殺されているので、今のところほぼ支払なしで済んでいます。1年後にFixed 12monthsが更新となるので、そのタイミングでFixedローンの額の一部をRevolving credit loanに移行させて、Revolvingのほうを増やしていきたいと思っています。
今はこのRevolving credit loan口座を家計のメイン口座にしていて、夫の給料やIRDからの子ども手当など全ての収入がここに振り込まれるようにしています。そして日々の出費は出来るだけまとめて支払うべく(そのほうが利息支払額が減るので)、クレジットカードを契約しました。
住宅保険に加入
どこまで保険に入るべきかとても悩んだ末、とりあえず住宅保険(House insurance)だけは加入しました。住宅保険は事前に弁護士から加入証明の提出を求められていたので、ほぼ必須かと思われます。加入後は契約書類を弁護士に転送しました。
家購入に関連する保険としてこのほか下のようなものがあるようですが、自分たちに必要かどうかしっかり調べて決めよう!・・・と思っていたら、すっかり時間が過ぎ、熱も冷め、放置となってしまっています。いずれちゃんと考えねば。。
- Contents insurance(家財保険)
家具家電など家財道具の破損や盗難等に対する保険。
- Life insurance(生命保険)
ローン借主に万が一のことがあった場合に、保険金でローン完済できるようにすることを目的に加入する。
- Health insurance(医療保険)
ローン借主が病気になったときに、すぐに私立病院で検査や治療を受けられるようにすることを目的に加入する。ローン借主の健康を守る。1)
- Trauma insurance(特定疾病保険)
特定の大病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中など)になったときに、年収の1~2年分など事前に設定しておいたまとまった額の保険金が支払われる。2)
生命保険とリンクされることも可能で、大病にならず保険金を受け取らないまま亡くなった場合は死亡時に保険金が支払われる。3)
- Income protection insurance(所得補償保険)
ケガや病気等で働けなくなった場合に保険金が支払われる。失業は対象外。またケガの場合、ACCから手当を受けていればその金額分は保険金から相殺され、ダブルで受け取ることはできない。4)
- Mortgage protection insurance(住宅ローン保険)
ローン借主がケガや病気等で働けなくなりローン返済が難しくなった場合に、毎月のローン返済を保障する保険。この保険は一般的にケガでACCの手当を受けていても相殺されない。3)5)
参考:1)NZdaisuki コラム- 第265回 住宅ローンがある人に勧める保険は?第2回
2)NZdaisuki コラム- 第264回 住宅ローンがある人に勧める保険は?
3)NZdaisuki コラム- 第266回 住宅ローンがある人に勧める保険は?第3回
4)NZdaisuki コラム- 第273回 インカムプロテクションを勧められたら
5)NZdaisuki magazine- vol.198 NZ保険コラム 第16回 住宅ローンで生命保険
もし夫に万が一のことがあった場合、正直にいうと恥ずかしながら、NZで私ひとりで子供達をたくましく育てていく自信はなく、また育てられるだけの収入を得られる自信もありません。
万が一の時には家を売却してローン返済し、自分たちは日本に帰る、という選択肢もあり得るので、それなら生命保険やインカムプロテクションは不向きなような・・。
いろいろな可能性があるので決めるのが難しいです。
ローン契約書に最終サイン
弁護士事務所にて、返済プランが反映されたローン契約書に最終のサインをしました。ローンのことなのでモーゲージブローカーのもとで行われるかと思いきや、契約書のサインは弁護士管轄でした。
ちなみに最終的な弁護士費用は約1,620ドルでした。
Pre-inspectionで最後の家チェック
Settlement日の前日に、不動産屋立会いのもと最後の家チェック「Pre-Settlement inspection」がありました。あいにく夫は仕事の都合がつかなかったので、私だけ行ってきました。
正直なにをチェックすればいいのか分からず、Settled.govt.nzの情報を参考に ①家の状態がオープンホーム時から変わりないか ②売買契約書に書かれている家財(家と一緒に引き渡される約束のもの。レンジフードやカーテン等)がちゃんとあるか、だけ確認しました。特に問題なさそうだったので、その場で不動産屋にPre-inspectionの結果OKと返事しました。
ついに家の引き渡し!
オープンホームから起算して37営業日後、ついに家の引き渡し日となりました。
当日は不動産屋に行って、受付の人から家のカギを受け取って終了でした。
ついにマイホームを購入しました!!
— エレクトリシャン🇳🇿オアマル支部 (@erekutorisyan) 2021年6月9日
本日がsettlement dayでさっそく堪能してきました。
3年前の今頃はニュージーランドで家を買うなんて微塵も思ってなかったのに人生どうなるかわからないですね…! pic.twitter.com/Y83ze6FWNz
これで晴れてマイホーム入居となりました!
以上、我が家のはじめてのマイホーム購入の記録でした。長い記事にお付き合いくださりありがとうございました😄